葉や麻(ヘンプ)から作られる代替肉?!
|これまで、植物性肉は大豆や豆類をベースに作られてきた。最近では、エンドウ豆、緑豆、ルパン豆など様々な豆類から作られた植物性の肉や卵を見つけることができる。そしてこの度、ニュージーランドのLeaft Foods社(以下リーフトフーズ社)とエストニアのTHE NATURIST社(以下ナチュリスト社)は、それぞれ葉と麻(ヘンプ)をベースにした代替肉を発表した。
鶏肉を模倣した菌糸繊維、牛肉の食感を再現したヘムベースのタンパク質、さらには3Dプリントステーキなど、代替タンパク質の世界は広がっているが、この2社は、60億ドル規模の植物性肉市場に珍しい食材で切り込んでいる。両社は何年もかけて研究し、これらの型破りな食材を市販するための完璧な製法を開発した。まもなく、世界中の消費者が葉から作られたハンバーガーを食べることができるようになるだろう。
葉を使った肉とは?
リーフトフーズ社は、植物の最も豊富な部位を活用することを目指している。葉である。長年、企業や研究者は葉からタンパク質を抽出することを試みてきたが、ほとんど成功しなかった。しかし今回、同社独自の技術により、ケール、ルッコラ、ホウレンソウなどの緑の葉から光合成に使われるタンパク質であるルビスコを抽出することに成功した。同社は、このルビスコが地球上で最も豊富なタンパク質であり、最も持続可能なタンパク質である可能性があると主張している。
このフードテック企業は、Khosla Ventures、ニュージーランドの投資家Ngai Tahu、NBAのスター選手Steven Adamsなどの主要投資家を迎え、直近の資金調達ラウンドで1500万ドル(約19憶円)を確保したと発表したばかりだ。この資金は、同社の生産能力を増強し、米国市場への進出とさらなる研究開発を目指すために使用される予定である。同社は、この革新的なタンパク質が、まったく新しい形の再生農業を促進する一助となることを期待している。
「自然界で最も大きな動物であるゾウ、バッファロー、ウシはすべて草食動物で、特に後者2頭は複数の胃袋を持つため、葉に含まれるタンパク質を消化するように進化してきた。しかし、人間は十分な量のタンパク質を摂取できるほどの量の葉を食べることは難しく、その植物内の成分をすべて消化することも不可能である。私たちの技術は、おいしく、栄養価が高く、拡張性があり、誰もが利用できる植物性タンパク質を作る。まさに変革の時である。」と、リーフトフーズ社の共同設立者であるJohn Penno博士は述べている。
ルビスコ(引用元:Leaft Foods)
リーフトフーズ社は、この新しいタンパク質は世界の農地のわずか2パーセントで全人口を養うことができるとしている。持続可能性だけでなく、同社の新しいタンパク質は消化が良く、アレルゲンを含まない。同社は、葉を原料とするタンパク質は、牛肉と同様のアミノ酸組成を再現し、動物の肉と同じ栄養素を含んでいると述べている。
麻(ヘンプ)ベースの肉とは?
4月5日に発売されたナチュリスト社のヘンプベースの代替肉「Crump」は、開発に約20年が費やされた。最も持続可能で健康的な植物性肉として作られたこの型破りなタンパク質は、加工油、大豆、有害な脂肪を避けており、環境への影響もほとんどない。このエストニアのスタートアップ企業が開発したヘンプベースのタンパク質は、牛肉と比較して水の消費量が400分の1、二酸化炭素排出量が24分の1である。また、この持続可能性の高いタンパク質は汎用性が高く、さまざまな料理に合わせて調理できるように作られている。
「自然界に存在する2つのスーパーフード、ヘンプとエンドウ豆を使った独自の精製技術により、Crumpはバランスのとれたアミノ酸組成を維持しながら、肉よりも高タンパクで低脂肪の世界初の植物性肉である。」と、ナチュリスト社のCEO兼創業者Jürgen Jürgenson氏は語った。
ナチュリスト社は、ヘンプの摂取による目に見えない健康効果も強調している。「過小評価されているスーパーフード」と呼び、ヘンプがヴィーガンに最適な栄養素の代用品であることを明らかにした。ヘンプは、54%の純粋な植物性タンパク質、15%の食物繊維、25%の炭水化物、0%のトランス脂肪で構成されている。ヴィーガンの中には、栄養不足のために植物性食生活を断念する人もいるため、同社は適切な栄養摂取を促進するための手助けをすることを目指している。
引用元:THE NATURIST
「10代の頃から、私は常に気候変動問題に取り組んでおり、地球に優しく、自分自身の環境への影響を減らすために、持続可能な取り組みやライフスタイルの選択に注目してきた。プラントベースのライフスタイルを何年も続けてきたが、他の多くのヴィーガンと同様、タンパク質の不足と不健康な代替肉の摂取によって引き起こされる健康問題のために、それをあきらめなければならないと感じていた。」とナチュリスト社の共同設立者であるTaavid Mikomägi氏は語った。
乾燥した顆粒として販売されているCrumpは、保存性が高く、簡単に保管することができる。この革新的なタンパク質は、少量のお湯を加えるだけで、ひき肉のように使うことができる。また、調理時の汎用性を高めるため、味はニュートラルに作られている。消費者は今月からINDIEGOGOのプラットフォームでこの新しいタンパク質を購入することができる。
まとめ
代替肉の世界はここまで来ているのかと驚かずにはいられない。葉やヘンプから作られる代替肉はどんな味なのか、どんな食感なのか、非常に気になる。スーパーマーケットに行って、今日はなに由来の代替肉を買おうかと悩める日が来るのが待ち遠しい。
参考文献
https://thebeet.com/hemp-leaf-based-vegan-protein/
動物愛護や環境問題の観点から2020年の夏にヴィーガンになりました。食べることが大好きで、プラントベースの商品を見つけると嬉しくてつい買ってしまいます。読者の皆さんも私自身も気になるトピックを取り上げ、知ることができてよかったと思っていただける情報を発信していきたいです!