オランダのモサミートが約90億円の資金調達でシリーズBを完了

 オランダの培養肉企業モサミート(Mosa Meat)は、先月23日にシリーズBラウンドの3回目の最終クロージングで1,000万ドル(約10億6千万円)を調達したと発表した。これにより、ラウンドの総額は8,500万ドル(約90億円)となった。
                    

オランダの培養肉企業「モサミート」
引用元:Mosa Meat

 今回のクロージングは、同じくシリーズBラウンドで調達した2020年9月の5,500万ドル(約58億円)に続くものだ。これで同社のこれまでの資金調達総額は、9,600万ドル(約101億円)になった。

 最後のクロージングには、家畜飼料と水産飼料の世界的リーダーであるオランダのNutreco社や、同じくオランダのJust Eat Takeaway.comのCEOであるJitse Groen氏などの新規投資家や既存の投資家が参加した。

 シリーズBの資金調達ラウンドは、ルクセンブルクを拠点とするBlue Horizon Venturesが主導した。同社は環境、人間の健康、動物福祉へのプラスな影響を世界的にサポートし促すことを目的として、フードテクノロジーを専門分野とする投資会社である。                 
                    

 オランダを拠点とするモサミートは、2013年に世界初の培養肉のハンバーガーを作ったことで注目を浴び、そのハンバーガー1個の製造コストは当時325,000ドル(約3,500万円)と非常に高価であった。

 同社は昨年、培養肉の製造プロセスの中で最も高価な部分である成長培地のコストの80倍削減に成功したことで、製造コストを大幅に引き下げた。
 このコスト削減の大部分は、ウシ胎児血清(FBS)の使用を排除したことにある。この成長培地は高価なうえ、非常に議論を招くため、現在多くの培養肉企業が距離を置いている。(ウシ胎児血清は非常に高価で動物由来の製品であり、ヤコブ病汚染のリスクもあるようだ)

 今回のシリーズBラウンドからの資金は、オランダのマーストリヒトにある同社の試験的な生産施設の拡張、工業規模の生産ラインの開発、モサミートチームの構築に充てられる予定だ。
                          

引用元:Mosa Meat

                  

欧州での当局承認を目指す 

 もちろん最終的な目標は、自社の培養肉製品を顧客に届けることだ。具体的な時期はまだ発表されてはいない。現在、モサミートは欧州の規制当局と協力して培養肉の安全性を実証し、規制当局の承認を得るための作業を行っている。

「既存のパートナーとの協力関係を拡大しつつ、今回のラウンドで新たなパートナーを迎えることができたことを嬉しく思う。シリーズBの資金調達が完了したことで、よりクリーンで優しい、本物の牛肉の製造方法を開発するという我々の使命に一歩近づくことができた。我々のパートナーは計り知れない戦略的能力と専門知識を持っており、世界の食糧システムの持続可能性を高めるという我々の強い使命を共有している」
とモサミートのCEOであるMaarten Bosch氏は述べている。
            

参考
Mosa Meat Closes $85M Series B Round

Mosa Meat completes $85m Series B investment round