IKEAのプラントボールとベジボールを徹底比較!

IKEA(以下:イケア)は、同社のサステナビリティ戦略として「2030年までにバリューチェーン全体から排出される温室効果ガスの絶対量を半減」や「2030年までに製品で使用されるプラスチックをリサイクルプラスチックか再生可能なプラスチックに」などの目標を設定している。2025年までにイケアレストランのメニューの半分をプラントベースに移行するとの発表(過去記事:IKEA(イケア)がフードメニューの半分をプラントベースに | 代替肉/フェイクミート(植物肉・培養肉)に特化したメディア【 Next Meats 】)も記憶に新しい。

そこで、今回はイケアが展開する「プラントボール」と「ベジボール」をそれぞれ食べ比べてみた。プラントボールって本当に美味しい?前からあるベジボールと何が違うの?…イケアお馴染みの「スウェーデンミートボール」を食べたことがある人もない人も、こちらの記事でイケアの本気度がわかること、間違いなし。

引用元:イケア

●目次

 1.プラントボールとは
 2.ベジボールとは
 3.実際に食べ比べてみた
 4.まとめ

   

1.プラントボールとは

まずは、日本のイケアで2020年10月に登場したプラントボールから見ていこう。

引用:イケア

「お肉好きも満足のプラントボール!」と銘打って、公式ホームページには以下のように説明がある。

“プラントボールは、将来肉の食べることが少なくなる世の中になっても、肉の好きな人やそうでもない人が変わらずにおいしい食事を楽しめる新しい味です。エンドウ豆タンパク質、ジャガイモ、タマネギ、オート麦、リンゴを材料とし、味わいとジューシーな歯ごたえはミートボールと変わりません。その特徴は肉が含まれていないこと。肉の代わりに、キノコ、トマト、野菜のローストなどのうまみ成分を加えることで、おいしい肉のような味を実現しています”

引用:イケア

クライメートフットプリント(製品の生産から輸送・製品使用までに排出された温室効果ガスの総量を、同程度の温室効果を持つ二酸化炭素量で示した指標)は、スウェーデンミートボールのわずか4%とのこと。冷凍の小売商品は、各店のスウェーデンフードマーケットにて購入が可能だ。

  

〈商品概要〉

・商品名:HUVUDROLL フヴドロル
・価格:699円
・内容量:500g(冷凍)
・原材料:エンドウ豆蛋白、植物油、ジャガイモ、エンドウ豆澱粉、タマネギ、エンバクふすま、米粉、キノコ濃縮物、乾燥リンゴ(リンゴを含む)、ぶどう糖、食塩、トマト粉末、ブラックペッパー、オールスパイス、マルトデキストリン/メチルセルロース、香料、乳化剤、安定剤(アラビアゴム)、pH調整剤

引用:イケア

現在はイケア各店のレストラン、イケア原宿のフードスペースにて、スウェーデンミートボール用ソースとリンゴンベリージャムが添えられたメニューを食べることができる(なお、こちらのメニューの付け合わせであるマッシュポテトやソースには動物性食品が使用されている)。

   

      

2.ベジボールとは

次に、イケアで以前から取り扱いのあるベジボールについて見ていきたい。

引用元:イケア

イケアによれば、ベジボールは2015年から販売を開始したとのこと。公式ホームページでは以下のように説明されている。

“野菜の味をしっかり感じる、野菜だけでつくったベジボール。大きめにカットしたヒヨコ豆、ニンジン、ピーマン、コーン、ケールの彩りが鮮やかです。伝統的なミートボールの代わりに、おいしいベジボールはいかが?

引用元:イケア

プラントボール同様、冷凍の小売りは各店のスウェーデンフードマーケットで購入可能だ。

    

〈商品概要〉

・商品名:HUVUDROLL フヴドロル
・価格:599円
・内容量:500g(冷凍)
・原材料:野菜(ひよこ豆、人参、エンドウ豆、赤ピーマン、とうもろこし、ケール、玉ねぎ)、植物油脂、エンドウ豆たんぱく、エンドウ豆でん粉、食塩、砂糖、酵母エキス、香辛料、玉ねぎパウダー、乾燥人参、パセリ/増粘剤(メチルセルロース)

「ベジボールほうれん草とラグーソース」
引用元:イケア

ベジボールというだけあって、外見からしても野菜がふんだんに入っている様子。イケア各店のレストランでメニューの取り扱いがあり、イケアレストランホームページではメニュー写真に「プラントベース」表記があるため、付け合わせも植物性であることが確認できる。

    

    

3.実際に食べ比べてみた

それではいざ、食べ比べ!筆者は上記の冷凍状態の商品を、IKEA新三郷の一階「スウェーデンフードマーケット」で購入した。商品の裏面に記載された調理方法は、プラントボール/ベジボール共に以下の通りだ。

   

調理方法

・オーブン:クッキングシートに盛り付け、予め180℃に熱したオーブンの中心に置き、約 20分加熱する
・フライパン:油をひき、中火で8~10分かき混ぜながら加熱する
・電子レンジ:(5個の場合)700wで約2分加熱する

今回は、プラントボール/ベジボールの両方を計5粒、電子レンジ(800w, 1分10秒)で加熱をした。

加熱済みのベジボール(上段)とプラントボール(下段)

   

〈総合評価〉

結論から言うと、プラントボールとベジボールはまったく別ジャンルの食べ物だ。「肉らしい」のは断然プラントボールであり、食感・風味・味付けからして本当に動物性食品が入っていないのか疑うほど、肉に近い食べ応えのあるものになっている。一方でベジボールは、野菜の粒がゴロゴロと入った「野菜の食べ物」といった印象が強い。

個人的には両方とも好みの味付けだが、肉好きの方におすすめするならプラントボール…ヴィーガンで肉らしいものは欲していないけれど、いつもと変わったおかずが食べたいならベジボール…といったチョイスができそうだ。

以下では、「外見」「味・風味・食感」「栄養成分」の観点から詳しく比較してみよう。

    

〈外見〉

加熱済み写真からわかるように、それぞれの見た目はかなり違っている。プラントボールは黙っていればミートボールのように茶色い一方、ベジボールは人参やとうもろこしなどの野菜が見え隠れしている。

それぞれの断面写真はこちら。

プラントボールとベジボール
断面写真:プラントボール(左)ベジボール(右)
筆者撮影

プラントボールは本物のミートボールさながらの繊維質な断面で、所々に玉ねぎも見えている。

一方のベジボールは、人参・パプリカ・グリーンピース・とうもろこし・ケールなどの野菜がぎゅっとまとまっている様子で、彩りが目に楽しい。

    

〈味・風味・食感〉

プラントボール、これは本当に植物から出来ているのか…?というほど肉に近い。血生臭さや、肉そのものの風味がするというよりは、香辛料や玉ねぎの香り、程よい水分量と油分のジューシーさから来る肉に似た食感だ。ひき肉のような、柔らかい部分と粒感のある食感で、硬さも肉のミートボールに近い印象を受けた。主原料のエンドウ豆による豆の臭みは全く感じない。また、塩味はそのままでもご飯が食べられる程度にしっかりと付いているが、ケチャップやマスタードをつけても美味しく食べられそう。ハンバーグやミートボールのような、万人受けしそうな味付けだ。

ベジボールは、香辛料の効いた洋風な味付けで、野菜のやさしい甘さと味付けの塩味のバランスが良い。プラントボールのような肉らしさはなく、見た目通り野菜のおかずだ。ベースとなっているひよこ豆ペーストはしっとりとしており食感は柔らかいが、全体的に野菜の粒の食感は残っている。プラントボールと比べて、塩味は同じくらいに感じるものの、油分は控え目であっさりと素朴な味わい。そのままでも美味しく食べられるが、こちらもケチャップやトマトソースとの相性が良さそうだ。

    

〈栄養成分〉

それでは、最後に各商品の栄養成分を比較してみよう。

カロリー(kcal)たんぱく質(g)脂質(g)炭水化物(g)食塩相当量(g)
プラントボール2581117151.4
ベジボール17989181.6
(参考)ミートボール20514.812.68.41.2
100gあたりの成分表示(小売商品の裏面記載情報より筆者作成)

参考として、プラントボール、ベジボールと同様にスウェーデンフードマーケットで販売されている冷凍の「スウェーデンミートボール」の情報を併記した。プラントボールとベジボールのたんぱく質量は、ミートボールのたんぱく質量より若干少なめ。意外にもプラントボールの方がミートボールより高カロリーなようだ。

   

    

4.まとめ 

本記事では、プラントボールとベジボールの商品紹介及び二商品のレビューを行った。ベジボールは野菜好きの人向け商品だと言わざるを得ないが、プラントボールはプラントベースの食事を求める人でなくても、わざわざ選びたくなるのではないかと思うほどの美味しさだった。イケアといえばミートボールだと思っていたあなたに、是非とも食べてほしい。あっさりした食事の気分なら、もちろんベジボールを試す価値も大いにあり!

気候対策への具体的なアクションを続けるイケア、今後のプラントベース商品にも期待が高まるばかりだ。

参考サイト:イケア公式ホームページ:https://www.ikea.com/jp/ja/

   

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