台湾に多く存在する「オリエンタルベジタリアン」とは一体?

台湾にいると、素食(蔬食)の文字をよく見かける。すでに知っている人も多いかもしれないが、素食というのは中国語でベジタリアンを意味する。
人口の約1割以上がベジタリアンフードを食べる台湾ではそこら中でベジタリアン料理を気軽に楽しむことができる。
この素食、実はベジタリアンだけでなく「オリエンタルベジタリアン」を意味することはご存じだろうか。

台湾 素食(蔬食)

目次

  1. オリエンタルベジタリアンとは?
  2. 五葷とはなんなのか?
  3. なぜ台湾にはオリエンタルベジタリアンが多い?
  4. なぜ仏教では五葷を禁じているの?
  5. オリエンタルベジタリアンとベジタリアンは同じ?
  6. ベジの種類とラベリングシステム
  7. ラベリングシステムの実態
  8. まとめ

   

1. オリエンタルベジタリアンとは?

オリエンタルベジタリアンとは、「五葷(ごくん)、肉、魚を一切摂取しない人」のことである。

   

2. 五葷とはなんなのか?

五葷というのは、ネギ、ニラ、ニンニク、玉ねぎ、ラッキョウの5種類のネギ属の野菜のことを指す。

   

3. なぜ台湾にはオリエンタルベジタリアンが多い?

冒頭にも記したように、台湾にはオリエンタルベジタリアン食を摂る人の数が多い。それは宗教的な理由が関係している。

仏教では、不殺生のため動物性のものを摂らず、また五葷も摂取すべきではないと言われている。仏教徒の多い台湾ではその教えに従って五葷なしのベジタリアン食、つまり素食を摂る人が僧侶を始め信仰深い仏教徒など、一定数いる。

ちなみに日本人に親しみのある精進料理も仏教のものなので五葷は使われていない。

   

4. なぜ仏教では五葷を禁じているの?

その理由はいくつかあるが、一般的に言われているものは、五葷を摂取することによって体内のエネルギーのバランスが崩れるからである、ということ。

ネギ属の野菜は全てにおいの強いものばかりで、またニンニクは精力を向上させるとも言われており修行の妨げになると仏教では考えられている。

以上宗教的な理由から五葷を含まない素食を食べる台湾人は多いものの、仏教徒といえど台湾に住む全ての仏教徒が食に厳格であるわけではなく、人によって1日1回~月数回のみベジタリアン食を食べる程度、という人たちが大多数である。

また、普段はベジタリアン食を食べなくても、お参りの習慣がある旧暦の1日、15日、四十九日の法要など特定の日のみ素食を食べるという人も多いそうだ。

日本よりは仏教の教えに対し忠実である印象はあるものの、信仰深さは人それぞれだ。

それでも台湾にたくさんの素食レストランや商品があることから常にベジタリアン食への需要があることは確かである。

   

5. オリエンタルベジタリアンとベジタリアンは同じ?

結論から言うとこれら2つは完全に別物である。

一般的にいうベジタリアンは五葷の有無を気にする必要はない。なぜオリエンタルベジタリアンとベジタリアンの二つが存在しているのかというと、主にアジアでは宗教的理由からベジタリアン食を摂る人が多い反面、欧米では環境問題・動物愛護の視点からベジタリアンになる人が多いため前述したような五葷による影響を気にしなくてもよいからである。

基本的に、台湾ではベジタリアンというと五葷を含まないものを意味するために、海外から訪れた人々は台湾のベジタリアン料理(つまりオリエンタルベジタリアン料理)を食べたときに物足りなさを感じることもしばしばあり、ここで文化の違いが生じる。

また、オリエンタルヴィーガンとヴィーガンについても上記と同じことが言える。

  

6. ベジの種類とラベリングシステム

これまで主にオリエンタルヴィーガンの説明をしてきたが、台湾ではオリエンタルヴィーガンやベジタリアン以外にも様々な食生活の人にやさしいラベリングシステムが行われているので紹介したい。


名称
動物性植物性
肉・魚乳製品蜂蜜五葷
Veganヴィーガン
Vegetarianベジタリアン〇 
全素・純素オリエンタルヴィーガン
素(食)*オリエンタルベジタリアン
奶素ラクトベジタリアン
蛋素オボベジタリアン
奶蛋素*ラクトオボベジタリアン
(植物)五辛素・Vegetarianベジタリアン

上記のようにベジタリアンの種類は細かくカテゴライズされており、少しややこしく感じるものの、ベジタリアンだけでなくアレルギーを持った消費者にもパッケージを見るだけで乳製品や卵等が入っているかどうかが一目で分かるやさしいシステムになっている。

ただし、前述したようにベジタリアン・ヴィーガン食に対する考え(五葷の有無)の違いが台湾と他国(とくに欧米)であるため、海外で使われているVegetarian/Veganマークは台湾ではあまり普及していないように感じる。

*素食と奶蛋素は同じ意味のオリエンタルベジタリアンを指すが、素食はレストランの看板やメニュー、奶蛋素は商品のパッケージに使われることが多い。

   

7. ラベリングシステムの実態

実際に台湾のコンビニエンスストアやスーパーマーケットに行くと、商品にベジの中でもどのカテゴリーにあたるのか明記されていることが多い。

右下に奶素(ラクトベジタリアン)の表示

正しくラベリングされているかどうかは、政府が不定期でランダムに選んだ企業の製品をテストすることにより確認される。万が一不正があった場合には、厳しく罰せられることとなる。

政府の取り組みにもより、台湾のラベリングシステムは消費者にとって信頼できるものであるものの、ごくたまに間違ったラベリングがされていることもあり、まだまだ食品企業の意識向上の必要性は感じられる。

最近ではセブンイレブンで全素(オリエンタルヴィーガン)と表示・販売されていた製品の原材料の中に卵由来のものがあると指摘され話題となった。

間違った原材料表示がされていた新植物肉餃子(人間福報より)

それでもなお、日本に比べると台湾はやはりラベリングの面を見てもベジフレンドリーな国であり、今後日本でもアレルギー表示だけでなく様々な食文化を持った消費者にやさしい製品づくり、マーケティングが展開されることを期待したい。

   

8. まとめ

  • オリエンタルベジタリアン(素食)とはニンニク・玉ねぎなどの五葷や肉・魚を含まない食べ物(またはそれを摂取する人のこと)のことであった。
  • 宗教的理由から素食を取り入れる人が多いが頻度は様々。
  • 台湾には素食だけでなく多様な食生活を持つ人に応じたラベリングシステムが発達しておりとてもベジフレンドリーな国である。

  

参考:

https://www.merit-times.com/NewsPage.aspx?unid=602300

   

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