カナダのTop Tier Foodsが植物性和牛をアメリカの一部店舗で販売開始

 カナダでプラントベースのお寿司を提供しているTop Tier Foods(以下 TTF)は、北米最大手の寿司メーカーであるAdvanced Fresh Concepts(以下 AFC)とのコラボレーションにより、植物性の高級和牛「Waygu」のアメリカデビューが決定した。

植物性の高級和牛「Waygu」
(引用元:Top Tier Foods

                      
 このヴィーガン「Waygu」は、AFCが運営するルイジアナ州のスーパー「ラウス・スーパーマーケット」などの試験店舗で限定発売し、今後はAFCの全米4,000店舗の寿司店で発売する予定だ。このAFC、実はすき家でおなじみの日本最大手の外食企業「ゼンショーホールディングス」のグループ会社で、日本ともゆかりがある。

 今回は、TTFが日本のメーカーと共同で、日本の伝統的な調理技術と醤油、日本酒、ガーリックペースト、生姜などのスパイスを用いて、照り焼き味で大豆由来の「和牛」を製造。従来の肉の代替として様々な料理に取り入れることができるヴィーガン肉を実現した。
                        

 TTFのBlair Bullus社長は次のように語っている。
「今回の試験販売を機に、AFCとゼンショーホールディングス、TTFの3社が長期的かつ成功につながるパートナーシップを築けることを期待しています。植物由来の代替品に対する需要がますます高まっている中、TTFはゼンショーの世界的な顧客に、品質と持続可能性を両立させたユニークな製品でその需要を満たす手助けができると信じています。」

                   
 和牛は世界中で、多くの肉食家から世界で最も美味しい牛肉として認知されており、霜降りの脂肪と柔らかさで知られている。

 Bullus社長は、植物性の和牛を開発することで世界で最も美味しい牛肉の代替品を作りたかったと続けた。
「伝統的な食材と調理法を用いて、この特別な牛肉に似た食感と風味を生み出すために、たゆまぬ努力を重ねてきました。醤油、豆腐、味噌などの料理に大豆を使用してきた何世紀にもわたる料理の経験は、これらの方法を応用すれば素晴らしい肉の代替品になることを教えてくれます。私たちの商品を世に出せるのをとても楽しみにしています。」
                      

引用元:Top Tier Foods

                       
 昨年のVegconomistのインタビューでは、Bullus社長は、Wayguがどのように調理されているのか、またどのように和牛を育てている畜産農家を称えたいと考えているのかについて、さらに深く掘り下げて話している。

「Wayguは、生産工場からわずか45分の距離の場所で開発されたグルテンフリーの醤油を使用し、伝統的な調理法を活用することで、市場に出回っている他の類似商品と比較して、サステナブルでクリーンなラベルの商品を作ることができました。植物性のWayguで、私たちは和牛農家の仕事を称え、個人的な理由で肉を食べないという人にも食べてもらえるような、同等の製品を作りたいと考えています。」

                       
 2019年7月、TTFはそのWayguを特集し、日本の厳選されたレストランに配った。その試食会の1つには、ハリウッドセレブや英国王族のためにも食事を用意してきた日本文化大使であるトロント在住の東條英員シェフが参加していた。

東條英員シェフ
(引用元:https://tojos.com/aboutus)

                     

 最初は植物性のお肉を食べることに抵抗があったという東條シェフは、植物性の和牛を試食して感銘を受けたと言う。

「本物の和牛を食べているのかと思いました、植物から作られているなんて信じられませんでした。第一印象は、これが本物の和牛だということでした。信じられないほど柔らかく、和牛に似ていて、味付けもしっかりしていました。とても近くて、違いを見分けるのは難しいですね。」

                           
 TTFは他にも、マサゴの代わりに海藻を使った「Tosago」、キャビアの代わりとして「Caviart」、巻き寿司のご飯の代わりに使える粘り気のあるキヌア「寿司キヌア」などのヴィーガン食を提供している。
                       

酢飯の代わりに使える「寿司キヌア」
(引用元:Top Tier Foods

                

 ドバイを拠点とする市場調査会社Future Market Insights (FMI)のレポートによると、植物性牛肉部門だけでも2030年までに160億米ドル(約1兆7千億円)以上に成長し、今後10年間で年平均22.7%の二桁成長率を達成する可能性があるという。

 報告書によると、米国ではほぼ960万人がプラントベースの食事に移行しているが、ヨーロッパでも肉を使わない代替品が人気を集めており、好む人の割合が451%も伸びているそうだ。
                          

 日本では、ヴィーガンコンビニの出現や、無印良品やモスバーガーのような大手企業がヴィーガン対応の新しいメニューを導入したことで、特に盛り上がりを見せている。昨年には、日本の代替肉スタートアップ「ネクストミーツ」が100%植物性の焼肉「NEXT焼肉」シリーズを発表し、焼肉のファストチェーン「焼肉ライク」全店舗でも販売されている。

焼肉ライクで販売中のプラントベース焼肉である
NEXTカルビ&NEXTハラミ

         
参考
Vegan Waygu: Canadian Firm To Debut Plant-Based Japanese Beef In Select Stores Across U.S.

VEGAN WAGYU BEEF LAUNCHES AT US SUSHI GIANT