代替ラム肉メーカーのBlack Sheep Foodsが520万ドルを調達

サンフランシスコのスタートアップ企業ブラック・シープ・フーズ(Black Sheep Foods)は、520万ドル(約6億円)のシード資金調達ラウンドを終了した。同社は昨年、代替ラム肉を発表しており、今回調達した資金は、狩猟肉や家畜の代替品開発に使用される予定である。また、外食産業への既存製品ラインの拡大を最優先事項として動く方針だ。

引用元:Black Sheep Foods

 このスタートアップは、より珍しい肉に特化することで、Beyond Meat(ビヨンド・ミート)、THIS(ディス)、Impossible Foods(インポッシブル・フーズ)といった企業とは一線を画そうと努めている。ラム肉や鹿肉などの狩猟肉は、高価格であることが多いため、植物性食品メーカーには見落とされてきた。共同設立者のSunny KumarとIsmael Montanezは、このような肉類を世の中に広めようとしている。

特許出願中のフレーバー

 ブラック・シープ・フーズは、分析化学を駆使して従来のラム肉を分解したという。ラム肉の豊かな風味と香りを生み出す成分を特定し、それを再現した。このプロセスは2年がかりで行われ、現在も進行中で、同社は発酵技術への進出に意欲を見せている。現在、ブラック・シープ・フーズが使用しているエンドウ豆プロテイン、ココアバター、その他の原料の独自ブレンドは特許出願中である。

 代替ラム肉の商業生産と並行して、新しい種類の代替肉も検討されている。Sunny Kumarは「植物性食品産業全体の成長を見るのはエキサイティングなことで、味を重視する植物性食品企業として、私たちはすでに他の品種の狩猟肉に取り組んでいる。」とVegNewsに語っている。


引用元:Black Sheep Foods

舌の肥えた人々のための新しい代替肉

 代替牛肉、代替鶏肉、そして最近では魚介類の代替品も入手しやすくなっている。一方で珍しい肉は取り残されているようで、特に狩猟肉は存在感が薄い。ブラック・シープ・フーズはこれを世界に進出するチャンスだと考えている。まだ確定はしていないが、シカ肉やキジ肉などの人気のある狩猟肉は、将来的に開発される可能性がある。

 ラム肉は昨年、サンフランシスコにあるギリシャ料理店Souvla(ソウヴラ)で独占的に試食された。今後、アラビア料理、インド料理、ピザチェーン、地中海料理などさらに多くのレストランがパートナーとして参加することになっている。

 Sunny Kumarは「ベイエリア全域で、高級レストランからファーストカジュアルまで、評判の良いレストランと協力できることに感激している。今年は国内の他の地域にも拡大する予定だ。」とVegNewsに語っている。

 パートナーシップを拡大するために、Souvlaはデルタ航空のケータリングオプションに代替ラム肉を追加する。ファーストクラスとビジネスクラスの乗客は、この植物由来の肉を利用できるようになる。

ラム肉の需要

 ブラック・シープ・フーズは、代替ラム肉に取り組む米国初の新興企業であるが、他国でも同様の事例がある。インドのスタートアップPlantMade(プラントメイド)は、2021年にインド初の代替ラム肉シークケバブを発表した。

 イスラエルのRedefine Meat(リディファイン・ミート)は、植物性原料のみを使用したホールカットのラムのスネ肉を開発した。同社独自の技術で3Dプリントされたこの肉は、現在、ドイツ、イスラエル、オランダ、イギリスのミシュランの星付きシェフによって提供されている。

 その他、オーストラリアでは養殖ラム肉の開発が進んでいる。スタートアップのMagic Valley(マジック・バレー)は、オーストラリアの人々に、残酷な扱いをせずに楽しめる肉を提供することを目指している。ウシ胎児血清(FBS)を含まない製品は、規制当局の承認を待って、2023年に生産される予定である。


シークケバブ(引用元:PlantMade)

まとめ

 選択できる代替肉の種類が徐々に増えている。これは植物性中心の食事をしたい方にとって喜ばしいことではないだろうか。いつどこでどんな国の料理を食べるとしても、元の料理が再現された、植物性の食事を食べることのできる日が来るのを待ち遠しく思う。

参考サイト

https://www.greenqueen.com.hk/black-sheep-foods-vegan-lamb-funding/

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