3Dプリントの人工肉で肉不足の状況に対応できるのか?

スペインのスタートアップNovameatは5月に本物の肉と同じ食感を持っているプラントベースの豚肉製品を開発したとニュースリリースした。

コロナウイルスのパンデミックの中、食品サプライチェーンのすべてのセクターで大混乱が起きているが、最も大きな衝撃を受けたのは食肉産業にあるかもしれない。従業員の感染により加工工場の閉鎖が余儀なくされ、肉の不足に拍車がかかった。一方、肉を食べることと感染症との関連を心配している消費者も少なくないようだ。

2019 年のアフリカ豚熱(ASF)で、中国の豚肉の消費が減少した影響はまだ終息していない中、TysonやHormeなど世界的メジャーな肉類加工工場は、今度はCOVID-19という新たな敵に直面している。

3Dプリント技術を使用し植物代替肉を作成するNovameat社は、今の状況を好機と考えており、最近になって、プラントベース豚肉のプロトタイプを開発した。新製品はエンドウと米のタンパク質分離物、オリーブオイル、海藻エキス、ビートジュースで作られ、肉のテクスチャーを模倣するNovameat社は独自のマイクロ押出技術で製造されているということだ。

Novameatの3Dプリント人工肉のプロトタイプ

製品はまだ市場に出ていないが、これまで3Dプリントステーキの開発に注力してきたNovameatは昨年、投資家からの資金を調達しており、プラントベースミートをレストランに販売したり、印刷技術を大手企業にライセンス供与したりする計画を持っている。

NovameatのCEOであるGiuseppe Scionti氏はメールで、「タンパク質市場は柔軟に対応できる製品を求めている時期で、世界的な豚肉供給の混乱を目の当たりにした経緯から、3Dプリント豚肉のプロトタイプを作成することを決定した」と語った。

3Dプリント豚肉がコロナのパンデミックによって注目を浴びたが、 Scionti氏は「Novameat社は、これだけで満足するわけがない。我々の技術はシーフードを含む、全ての動物性タンパク質食品をプラントベースに変えていけることを実証しようとしている」と言及した。

Scionti氏は、コロナウィルスの混乱に影響されつつも、スケジュール通りに今年末までに、ヨーロッパのいくつかのレストランで3Dプリントのステーキを販売する方向で進めているのだという。

今後2、3年以内に、3Dプリント技術をプラントベースの肉加工メーカーにライセンス供与を実現する予定だが、Cargillのような大手肉会社がプラントベース業界へ投資するような活動事例が増えている状況をみると、この販売企画が早めに実現できる見通しはあるのではないだろうか。

特に3Dプリントミートの大きなセールスポイントの1つは、生産が大幅に自動化できることにある。実は今回の新製品もNovameatのメンバーたちがテレワークで開発したということだ。

つまり、ウィルスのパンデミックにより自粛を余儀なくされるたり、社会から切り離れたとしても、3Dプリント技術の研究開発がスピードダウンすることはない。ポストコロナの世界で肉の代替品として、3Dプリントミートはより魅力的なオプションになる可能性があると考えられる。

参考サイト: https://thespoon.tech/novameat-develops-3d-printed-pork-alternative-to-feed-plant-based-meat-demand/

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