フェイクミートと観光 ~インバウンド対策の必要性~

近年、「フェイクミート」を耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。この背景にはSDGsの存在があります。

SDGsとは、持続可能な社会の実現に向けて、2030年までに世界が達成すべき17の目標の総称を指します。現在は、SDGsへの意識が世界的に高まり、多くの企業がSDGs関連の事業を模索し始めました。

そんな中、注目を集めているのがフェイクミート(植物肉・代替肉)です。
本記事では、フェイクミートを観光関連企業が取り入れるべき理由をフェイクミート、SDGs、観光の順を追って説明していきます。
データを用いて、わかりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

フェイクミートとは?

そもそも、フェイクミートとはどんなものでしょうか。
フェイクミートは植物肉や代替肉と訳されます。
この名前からも分かる通り、肉のようで肉ではありません。植物由来の肉を模倣したもの、それがフェイクミートです。

また、植物肉と混同しやすいものとしては、培養肉が挙げられます。しかし、こちちは人工的に動物細胞を培養したものなので、フェイクミートと区別する必要があります。

企業がSDGsを取り入れるメリット

そもそも、企業がSDGsを取り入れるメリットは何でしょうか。
企業がSDGsを取り入れるメリットとしては、
・ESG投資(環境・社会・統治に配慮し投資先を決定する投資方法)における評価が高まる
・SDGsへの関心が高い優秀な人材が集まる
・株主とのコミュニケーションツールになる
などが挙げられます。

ESG投資を意識することで、企業イメージの向上も見込めます。また、SDGsは近年のホットな話題であり、労働市場においても優秀な人材の確保という面で企業に有利に働くでしょう。
さらに、これまではCSR活動と利益のバランスなどを細かく株主に説明する必要がありましたが、これからは、SDGsの一言で説明ができるようになると考えられます。
これも、企業としてはSDGsを取り入れるメリットになるでしょう。

フェイクミートとSDGsの関係性

SDGsは先ほども述べた通り、持続可能な世界の実現に向けて国連が定めた17の目標(ゴール)のことを指します。
その目標の中で、フェイクミートが最も関連すると考えられるのは「気候変動に具体的な対策を」という目標です。

肉を生産するには、家畜が欠かせません。しかし、畜産業はかなりの温室効果ガスを排出します。特に牛肉は温室効果ガスの排出が多く、地球温暖化の観点から問題です。

そこで、フェイクミートが有効な問題解決の手段になります。肉の生産量を減らしながら、肉のようなものを食べることができる。
それがフェイクミートなのです。

また、SDGsの「飢餓をゼロに」この目標もフェイクミートに関係します。
世界の飢餓を2030年までになくすためには、持続可能な食料供給が欠かせません。しかし、世界的に人口は増え続けています。

この状況で飢餓をなくすには、フェイクミートが役に立ちます。上述した通り、フェイクミートは環境に優しいため、持続可能な農業、並びに食料供給に大きく貢献するでしょう。

日本の観光産業の課題と対策

日本の観光産業の現状

日本政府が本格的に観光産業に力を入れ始めたのは2003年です。
この年、政府は「観光立国宣言」を行い、2019年途中まで順調にインバウンド需要を伸ばしてきました。

{観光白書より}

この調子で行けば、オリンピック効果も相まって、2020年の訪日外国人数を4000万にするという目標は達成されるかと考えられていました。
しかし、昨年の韓国とのGSOMIA問題(軍事情報包括保護協定)から逆風が吹き始めました、
そして、今年に入ってからのコロナウイルスが日本の観光産業に図りしれない打撃を与えています。

この状況の原因は訪日外国人の国別・地域別のデータを見ると明らかになります。

(観光白書より)

このデータを参照すると分かるように、東アジアからの訪日外国人の割合が圧倒的に多いです。この構造を改善しなければ、日本の観光業に未来はないでしょう。

日本の観光産業の目指す道

東アジア以外からの観光客を増やすために、日本政府はムスリムの人々をターゲットに設定しています。訪日ムスリム観光客は年々、増加傾向にあります。

(訪日ムスリムのためのアクションプランより)

そして、ムスリムの人々は日本人と大きく文化が異なるため、各企業もより多文化に対応した、インバウンド対策が求められます。
しかし、日本のムスリムに対するインバウンド対策は問題点を多く抱えています。具体的には、「礼拝所の設置」や、「食事への配慮」などでが挙げられており、特に、食事への配慮は礼拝所の設置よりも取り組みやすい課題と言えます。

しかし、取り組みが遅れていることが問題なのです。(もちろん礼拝所も、お祈り場所の提供などの努力は必要です。)
これは、日本の飲食店やホテル・旅館など、観光業界全体に言えることです。もっと食事内容の幅を広げたり、メニューの表記を工夫する必要があります。

そして、食事内容の幅を広げる方法の1つがフェイクミートです。ムスリムの人々は、宗教上で食べてはいけない肉が決まっています。このことを踏まえた上で、似たようなメニューを提供できることがフェイクミートの強みでしょう。

例えば、フェイクミートを使った和食は需要が高いはずです。
「宗教に関係なく、日本ならではの料理が楽しめる。」
この状況を作り出すことが、日本の観光産業全体にプラスに働くでしょう。

<まとめ>

これまで見てきた通り、「SDGs」と「インバウンド対策」観光関連企業には、どちらの観点からもフェイクミートを取り入れるメリットがあります。
フェイクミートへの参入を検討している企業はぜひ、前向きに考えてみてください。

引用 「令和元年坂 観光白書」  国土交通省
   「SDGs入門」 日経文庫
    米国で大流行 「フェイク・ミート」を食べてわかった、そのすごい実力
    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65758
    ミラサポ  https://www.mirasapo.jp/features/policy/vol57/
    訪日ムスリムのための訪日アクションプラン
    https://www.mlit.go.jp/common/001235639.pdf

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