ヨーロッパの植物肉・植物性乳製品市場、2025年までに約9,160億円に

2050年代半ばまでに従来の動物性食品を上回る売上高に

 オランダの多国籍金融会社INGは、欧州連合(EU)とイギリスの植物肉・植物性乳製品市場が、今後5年間で75億ユーロ(約9,160億円)にまで膨れ上がると予測している。

 この分析では、巨大な食肉・乳製品産業の中でプラントベース食品のシェアはまだ小さいものの、現在の成長率であれば2050年代半ばまでに従来の動物性食品を上回る売上高になると予想されることも明らかにしている。

 10月に発表されたINGの調査では、年率約10%の成長率で、欧州とイギリスのプラントベース食品市場は2019年のわずか52億米ドル(約5,473億円)に対し、2025年には88.7億米ドル(約9,336億円)に達すると予測している。この地域のすべての国の中で最も大きな市場がイギリスで、現在小売売上高が11.8億ドル(約1,242億円)近くに達し、フランスとドイツがこれに続いている。

 「この成果の多くは、新製品の導入と、消費者が意思決定の際に健康、動物の福祉、サステナビリティを考慮するという基本的な傾向によるものである」と報告されている。
        

 アナリストによれば、プラントベース食品の売上高の増加は現在のところ、食肉市場の0.7%、乳製品市場の2.5%と全体のごく一部に過ぎないとのことだ。しかし、現在のプラントベース食品のバリューチェーン全体の投資レベルと技術革新のスピードを考えると、業界が直面している3つの主な障壁は「大幅に低くなる」とINGは予測している。 

 この報告では、①動物性食品との価格差、②プラントベース食品の消費者体験、③大規模市場での流通と入手可能性 の3つの課題が挙げられている。INGは、これらの「弱点」を克服することで、2025年までに植物肉の市場シェアは1.3%に、植物性乳製品の市場シェアは4.1%になると予測している。

 今後数十年間この傾向が続けば、2050年代半ばにはプラントベース食品が動物性食品の売上高を上回る可能性があると予測している。

 この分析ではまた、今後数年で市場が固まるにつれプラントベース食品を扱う企業間で激しい競争が起こることも示唆している。特に、この分野の「先発者」であるフードテック、既存の大手食品会社、そしてまだ存在感を示していないベンチャー企業の間での競争が予想される。

 「今後5年間で、特に北西ヨーロッパの確立された市場では、市場シェアをめぐる争いが激化するだろう」と著者らは述べている。「より多くの食肉・乳製品メーカーがこの分野に注力するようになれば、この分野での競争が激化し、プラントベース食品を扱う新規のベンチャー企業にとっては生き残りがますます困難になってくるだろう。」と述べている。
                

 畜産動物の問題に特化する投資家イニシアチブであるFAIRR(Farm Animal Investment Risk & Return)による最近の報告書によれば、世界の主流食品メーカーや小売業者の40%が、急成長する市場に参入するための戦略の一環としてプラントベース専門チームをすでに設立し、新しいヴィーガン製品の開発・販売に着手している。
      

 他の調査でも、今後数年間のプラントベース食品の市場について強気の予測が示されている。例えば、Zion Market Researchは最近、アジアにおける需要の牽引もありながら、世界の植物肉市場は年間8.6%の成長を遂げ、2025年までに210億米ドル(約2兆2,102億円)に達するとの予測を発表した。
     

参考サイト:https://www.greenqueen.com.hk/europe-plant-based-meat-dairy-to-be-worth-us8-9-billion-by-2025-report-finds/